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ロードワーク
冷たく乾いた風を吸い込み喉が痛む。
—あれ、私ってこんなに体力なかったっけ?
さっきまで一緒に走っていた仁の背中をもう見失ってしまった。
「田村君、ちょっと待って・・」
やっぱりプロボクサーの体力は桁外れだ。軽々しくロードワークに付き合うと言った事を明日香は後悔した。
「明日香、お前だいぶなまってるんとちゃうか?」
顔を上げるとあんなに遠くを走っていた仁が明日香の顔を覗き込んでいる。額には汗一つかいていない。
「そやかて、久々やもん。こんなに走ったん。」
「体育大行ってんのに全然あかんやんけ。まあ、ジムまであと1キロや。ぼちぼち帰ろか。」
「うん。」
もうひと走り、と踏ん張った明日香の足を襲う嫌な感触。
「あいだっ!」
「どうした?」
「ごめん田村君、足つったわ・・」
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