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結局はふくらはぎの痙攣がなおらず、仁におぶってもらってジムまで帰る羽目に。
「ごめんね田村君、重くて。」
「ほんまやで。」
「おいっ。」
そこは否定しろよ。
「・・・」
二人きりになるとその後の会話が続かない。他の誰か、例えばジムの会長や他のジム生がいると無理なく会話が弾むが。
もともと仁は無口な方で沈黙も気にならないタイプらしいが今の明日香にはそれが歯痒い。
ただ無言で仁の背中に背負われ、ゆっくりと流れる河原の景色を眺めていた。鼻をつく微かな汗と男物のシャンプーの匂い。こんなにも彼とくっつくのは初めてかもしれないが、彼は何事でも無いかのようにスタスタと走っていく。
—もしかして私って、女として見られてへんのかな。
出会ってから早4年、2人は未だに友達同士の関係だ。
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