またね

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 少し遠くまで、散歩をした。  どこから来たのかを思い出したくて、あっちにこっちに歩いてみた。でも見たことのない景色ばかりだった。  夕暮れが過ぎていた。  風が冷たく強くなった。  ふと藍の空を見上げると雨はすぐに降り出した。濡れない場所を探してからだを小さく、小さく丸めて目を閉じた。  静かな時間が過ぎていく。  しとん、しとん、と雨が降る。  ぼくは、少し眠った。    夢うつつの中で、ぼくを「連れて行こうか」と言ってくれた矢部さんの声が、耳元で何度も、何度も、揺れている。                                                   
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