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■ 回 想
女 「ねえ、写真撮ってくれない?」
男(M) 「彼女と出会ったのは学生の頃だ。彼女は音楽を専攻する学生で、演奏会のパンフに載せる写真を取って欲しいと言って来た。」
男 「なんで俺?」
女 「暇そうだったから。」
男 「暇じゃ…これっていう被写体がみつからなかっただけで。」
女 「だから、私が決めてあげるよ。さ、私を撮りなさい。」
男(M) 「撮った写真を気に入ったといって、その後も何度も強制的に撮らされ、気がついたら付き合っていた。気がついたら学生の時代は終わっていて、気がついたら彼女と一緒に住んでいた。家賃を払った覚えはない。食費なんかを渡した記憶も無い。僕は、金にならない写真しか撮らないし、そのくせ被写体を求めて気の向くままに出かけていた。演奏家になると言っていたはずの彼女は、ピアノ教室の講師になっていた。」
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