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三柴五郎は真っ暗な場所を前に向かって歩いていた。どこに向かって歩いているのかも分からない、ただ呆然と歩いていた。するとどこからともなく声が聞こえた。中性的な声だ。
「あなたの願いを叶えましょう。何でも叶えましょう」
辺りを見回すが誰もいないと思ったその時……目の前に今日買った熊のぬいぐるみが10m以上の大きさで現れた。無機質なままのぬいぐるみから声から聞こえてきた。その現状を当たり前のように受け入れ、神社にお参りする時のように両手を合わせぬいぐるみに返事をした。
「明日良いことがおきますように」
「そんなちっぽけな事でいいのですか?」
大きなぬいぐるみは顔を近づけてくる。どんどん近づきぶつかりそうになった。
「!?」
声にならない声で目が覚ます。携帯を見ると娘のみよの誕生日の朝6時。箱の方を見る。変わりはない。先ほどの出来事が夢であると分かり三柴五郎は納得した。あんな巨大なぬいぐるみを目の前にして驚かないわけがないのだから。
いつも通り朝ご飯を食べ会社へ向かう。途中『777が出ればもう一本おまけ!』と書かれた自販機でコーヒーを購入。いつも当たらないのでぼーっとしていると数字の7が3つ揃い機械の声で「おめでとう、当たったよ!」と聞こえ三柴五郎は思わずガッツポーズをする。
会社に着き親しい同僚に先ほど当たったコーヒーを渡した。
「お?くれんのか、サンキュー!」
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