0人が本棚に入れています
本棚に追加
「意識戻りました!」
三柴五郎は真っ暗な場所にいるががやがやと騒がしい音が耳に入ってくる。
「お父さん!私だよ!分かる!?」
どこかで聞いた懐かしい声が聞こえてきた。何度もお父さんと呼ぶその声はだんだん大きく聞こえ真っ暗な世界が色づき視界がはっきりする。
「お父さん!分かる!?私だよ!」
顔つきも声を大人になっていたが三柴五郎はしの人物が誰かすぐに分かった。
「みよ……」
頼りない声で名前を呼ぶ。するとみよは目に涙を浮かべ手を優しく握った。医者らしき人物が急いでやってき、心音などを確かめる。
「奇跡ですよ……!仮死状態から15年経って目覚めるとは……」
驚いている医者らしき人物の声の後ろに慌ただしい足音が一つ聞こえた。
「気が付いたのねあなた!」声の主は三柴五郎の妻だとすぐに分かった。
「仮死状態ってどう言う事だ?何があった?今はいつなんだ?」
意識が戻ってから気になった事を頼りなく弱弱しいこえで尋ねる。
妻の話によると三柴五郎はみよの5歳の誕生日の夜、突然倒れ病院に運ばれた。原因不明の仮死状態となった。回復の見込みは難しいとされていたが家族が諦めず回復することを待った。そして15年の時が流れ目を覚ました。
妻は会社員として働いており、みよは市役所の福祉課で働いていると聞いた。
意識を失う前の記憶も曖昧で眠っていたため記憶もないし思い出を作る事も出来なかった。が娘の成長を見れ娘が立派に成長し良かったと三柴五郎は思った。
-完
最初のコメントを投稿しよう!