彼女の仕事

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   今日もフロア中に、パソコンとリンクした電話が鳴り響いている。  プルルルル…… 「はい、お電話ありがとうございます。ドゥーマ化粧品カスタマーサポートセンター担当……」  プルルルル…… 「……ご期待に添えず、大変申し訳ございません……」  プルルルル…… 「はい、かしこまりました。ただ今確認致します……」  ここは高学歴な正社員やエリート営業マンが集う上階とは異なり、日々の生活の糧として扶養内で働くパートタイマーの主婦や、学生アルバイトが多く雇われ、三十人程で休憩を交代で回しながら電話対応している。  髪の色、ピアス、服装、ネイルなどが自由の為、皆思い思いの服で電話対応をしている。  (ともえ)も自分が一番お気に入りの格好で、本日も遅めの出社を果たした。早番のシフトの方が主婦層に人気があるので、どうしても午後のシフトが不足気味になるからだ。  いつもの光景、いつもの音。ただ通常と違うのは、ここ数日、この会社の雲の上の存在である副社長様が、このフロアにいらっしゃっていると言う一点に尽きる。
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