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ここは上場企業である、株式会社堂馬グループが最近着手し力を入れている、高級化粧品のお客様相談室のコールセンターである。
超高層ビルの地下一階。以前は倉庫として使われていた一角に、この部署は一年前に新設された。
元々こことは違う会社の秘書として働いていた巴は、人間関係が拗れてしまい退職に追い込まれてしまった。
実際よくある話なのだが、いつまでも貯金を食い潰す生活を続けていくわけにもいかず、奨学金返済や家賃もあるため、取り敢えず生活出来る分だけでも稼がなければならない。
ちょうど、前の会社の取引先だったここが求人をだしており、長時間勤務のパートとして入社した。正社員も募集されてはいたものの、以前の会社での出来事から、必要以上に責任を負う仕事をすぐには背負いたくなかったのだ。
しかし、はじめは巴も皆と同じオペレーターからスタートしたにも関わらず、処理能力と対応スキルの実力を買われ、どんどん研修をさせられていった。結果、今では『ドゥーマカスタマーサポートスーパーバイザー』としての肩書きを確立し、気付けばパートタイマーから契約社員になっていた。契約社員と言っても、賞与として寸志が夏と冬のボーナス日につく位のもので、パートの時と待遇は大きくは変わらない。
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