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最初『弟が副社長』と聞いた時に巴は「げぇっこの会社、同族経営だったんだ……」と軽く絶望した。彼は社長からここの最高管理者として任命されている為、月に何度かこのフロアへ来る。和樹は巴が出勤してきた事を横目で確認し、軽く会釈した後にすぐ目線をパソコンへ移した。
(挨拶位すればいいのに……まぁ、副社長様だから仕方ないか)
「……加藤さんのその服は、一体どこで買うんですか?」
和樹がボソボソと話しかけてきたので、巴は少し驚いた。彼から話しかけられる事はそう珍しい事ではないのだが、こんな個人的な内容で話しかけられる事はあまりない。
ちなみに今日の巴の装いは、白地のTシャツに『潮風(しおかぜ)』と書いたロゴ。そのすぐ下に気の抜けた猫がサーフィンしている絵がプリントされている。下は普通のジーパンだ。化粧は一応社会人という自覚はあるので、日焼け止めを丁寧に塗りこんでいる。
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