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※ 【第一試験】 水色スライム三十匹、討伐 ※
実習先であるサラク平原へ馬鹿真面目に集合したのは、なぜか僕だけだった。
担任の男性教師──カルロウ氏はそのことに全く驚かなかった。
平然とした顔で、持っていたバインダーに目を落とし、スラスラと何かを書いていく。
「山田洋一。第一チェック合格だな」
僕は静かに挙手をする。
「あの、先生。僕の仲間が誰も来てくれません」
僕がそう訴えるも、カルロウ先生はそのことについて当然のように肩を竦めて溜め息を吐いてくる。
「そりゃそうだろう。お前は勇者志願者だからな」
「先生、言っている意味がよくわかりません」
「何を言っている。勇者が旅立つ時は必ず一人だ。
見習いの剣は持ったか? 旅立ちの服は忘れずに装着したか?」
何かを誤魔化された気がした。
「あの……先生。
すでに敵が、僕の目の前にいるんですけど……」
「攻撃をしない限り、奴らも襲ってこないから安心しろ」
「安心している場合じゃないと思います。
僕一人で三十匹なんて体力が持ちません」
「ほぉ」
カルロウ先生が僕を見て感心したように声を上げる。
「つまり仲間が必要だと言うんだな?」
「当然です」
いったい何の為にチーム編成なんかしたんだろう、と思いたくなる。
カルロウ先生が再びバインダーに視線を落とし、サラサラと何かをメモし始めた。
「山田洋一、第二チェック合格だな」
「どんだけ回りくどいんですか? この試験」
「チェック項目は以上だ。
さて、次は仲間を冒険に誘って、いよいよ魔物退治だ」
「先生。昨日僕が仲間に渡した連絡プリントに、何か意味はあったんでしょうか?」
「ない。元々あいつ等がプリント一枚で集まるとは到底思えなかったしな」
「彼らにやる気はあるのでしょうか?」
僕がそう問うと、カルロウ先生がにこりと笑ってきた。
「それをやる気にさせるのが勇者見習い──山田洋一。君の役目だ」
「先生。それって単なる個々のモラルの問題だと思います」
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