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「でも彼は、大学で違う女の子を取っかえ引っ変えして、遊んでいたんです。私が別の大学にいるからって、見てないからって…。それを知ったのも最近ですけどね」
彼女はまた笑う。
ふふ、と。
「卒業して、同棲し始めたんです。2人で家事を分担して、一緒にご飯を食べて、一緒に寝て。すごく幸せだった…のに。彼はある日突然、私に暴力を振るってきたんです。いわゆる、DVってやつ…」
彼女の笑顔が、どんどん引きつってきている。
「それでも私は彼が好きだった。ずっと…ずっと。それなのに、彼はほかの女の子のところに行って、私が稼いだお金を好き放題使って、自分は仕事をやめて…それでも、それでも一緒にいたかったのに…彼は私を捨てた。もういらないって、言われた…」
ポロポロと彼女の目からこぼれる涙は、透き通っていた。
「でも、彼はネックレスは外さなかった。私とお揃いの、ネックレスは。…私が無くしちゃって、すごく焦ったんです。最後のお守りがって…変ですよね」
僕は首を横に振った。
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