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陽当たりの良いリビングで、北川秋が入れてくれた紅茶を飲む。
熱い紅茶が身体を芯まであたためてくれた。
しばらく2人で黙ったまま紅茶を飲んだあと、北川秋が口を開いた。
「びっくりしたでしょう。」
「……はい。びっくり、しました。」
「時々、あぁなってしまうんだ。情けないだろう?」
「そんなことないです。」
「そう?いつもかっこつけてるくせに、修羅場になると毎回こうだからね。みっともないよ。」
「みっともなくなんて!」
「みっともなくなんてないです!俺は、戦ってる姿だって思いました。俺、うまくいえないけど、なんていうか、すげーかっこよかったですよ!」
俺がガタッと勢いよく立ち上がったので、北川秋は目を丸くして驚いている。
「あ、すいません、俺……」
「いや、ありがとう。」
北川秋はふわりと笑う。
「あの姿を見てかっこいいなんて初めて言われたな。」
だって、本当にかっこよかったんだ。
「岩崎くん。」
北川秋が俺を真っ直ぐに見つめて言う。
「改めて、この仕事、お願いしてもいいかな。」
「はい。」
出来るだけ誠実に、同じくらい真っ直ぐに瞳を見つめて応えた。
「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。」
俺は、この人の力になりたい。
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