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「アラタは人が良すぎるんだよ。」
ミズキが俺の作った煮込みうどんをすすりながら言う。
「そうかなぁ。」
「そうだよ。それで結局この様だろ?」
「この様はさすがに酷いだろ。そんなこと言うならもう食べるな。」
俺がミズキから丼を取り上げようとすると、ミズキは「わわわ、ごめんごめん。」と慌てて謝ってうどんを食べ続けた。
しばらくして丼をカラにしたミズキは
「あー!うまかった。お腹いっぱい。ほんとアラタはこれだけは上手いよな。」
やっぱりこいつにはもう作ってやらない。
「でもさ、どうすんの?これから。」
「それなー。どうしようかなぁ……」
ミズキ曰く『人が良すぎる』ことが原因で、俺は先週勤めていた会社をクビになった。
そのタイミングで実家に住む母が怪我をして入院。怪我自体は幸い大したことなかったんだけど、入院費用もろもろ立て替えることになって貯金が尽きた。
さらにトドメを刺すかの様に、住んでいたアパートの上の階から水漏れ。もともと老朽化が進んでいたのでこの機会に取り壊す、と大家さんから通達が来たのが3日前。
なんとか無事だった少しの荷物だけ持って友人のミズキのところに泊めてもらっているのだけど、同棲相手の彼女さんも来週には海外旅行から帰ってくるので、そうなったら俺はいよいよ家無し職なし金無しだ。
とにかく非常にまずい状況。
「まぁサキちゃんは、アラタくんが落ち着くまでいていーよって言ってくれてるよ?でもさぁ俺が嫌なわけ。アラタがいたらサキちゃんと仲良しできないだろ?」
薄情なやつめ。
でもそう言いながらボロボロの俺をロクに事情も聞かず家に上げてくれて、こうして何日も泊めてくれているんだから、すでに神様みたいにいいやつなんだ。
「どうしようかなぁ。」
頭を抱える俺を見てミズキが言った。
「じゃぁさ、コレ、やってみる?」
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