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ミズキはスマホのメールを俺に見せながら話し始めた。
「ほらコレ、俺の友達が出版社に勤めてるんだけど、新しく担当し始めた作家さんの家で住み込みで働ける人、探してるんだって。」
「家政婦ってこと?それならプロを雇った方がいいだろ。」
「それがそういうわけでもなくてさ、家事は自分でやれるらしい。」
「じゃぁ住み込んで何するんだよ?」
「なんかその人、集中するとぐわーっとなっちゃって身の回りの事できなくなっちゃうんだって。酷い時は入院までしちゃうらしい。今は俺の友達が時々訪ねて行って様子見てるらしいんだけど、他の仕事もあるし、そればっかりやってられないだろ?」
「まぁ、そうだよな。」
「だから仕事っていうのは、住み込んでその小説家にごはん食べようとかそろそろ寝なさいとか声かけてほしいんだって。おかんみたいに。」
「それだけ?」
「そう。まぁ、できるなら家事とかしてもいいみたいだけど、基本的にはとにかく声をかけてくれればいいって。で、報酬はこれ。」
「こんなに??!」
「いい話だろ?」
「これ、他にもやりたい奴山ほどいるんじゃないの?そうじゃなきゃ、なんか裏があるとか…。」
「裏っつーか、今までの人達があんまり長く続かなかったとは聞いてる。でもお前なら大丈夫じゃないかな。」
「やっぱりなんかあるんだ。てかなんで俺なら大丈夫なんだよ?」
「えぇと、あ、ほらコレ」
ミズキが画面をスクロールして見せてくれたのは超絶イケメンの画像だった。
「誰?」
「これがその小説家。この顔面だろ?今までの子はみんな恋愛系のトラブルになっちゃってやめてるみたい。だから新しく担当になった俺の友達から『誰か信用できる人いない?』って俺のとこに連絡がきたわけ。」
「ほら俺って信頼されてるから。」とドヤ顔のミズキ。
確かにそれなら俺は大丈夫だ。男に興味は無い。
「……やってみようかな。」
「よし、じゃぁ決まり。まぁ駄目だったらまたウチに来いよ。」
ミズキ、やっぱりいい奴だ。
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