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音を立てないように、静かに寝室のドアを開ける。
ベッドの上に、膝を抱えて座り込む北川秋の姿があった。
「北川さん?」
俺の声に、ビクリと震えるのが分かった。
「アラタ……」
「北川さん、何して……」
「やだ、こないで。」
「もしかして……ずっと寝てないんですか?」
北川秋は何も言わない。
「どうして、いつから?北川さん、ずっと普通だったじゃないですか。」
「だってアラタが……」
「俺が?」
「アラタが、俺のことなんか好きにならないって言った。」
「北川さん、あの時やっぱり聞いて……あれは」
「言ってたじゃないか!絶対無いって。」
北川秋の瞳から大粒の涙がこぼれている。
「俺のこと好きでもないのに一緒に寝るのなんか嫌だろ??」
「ちょっと待って北川さん、」
「男同士なんて気持ち悪いんだろ」
「北川さん」
お願いだ、話を聞いてくれ。
「アラタは俺のことなんて」
「シュウ!!」
俺は北川秋を抱きしめた。
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