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「お願い、聞いて。」 北川秋は俺の腕の中で震えながら、声も出さずに泣いている。 「俺、北川さんのこと好きですよ。気持ち悪いなんて、絶対無い。」 北川秋の両方の手がしがみつくように背中に回されるのを感じて、俺はもっと強く抱きしめる。 「北川さんがこんな風に1人で泣いてるの、俺、嫌だよ。眠れない時はいつでも俺を呼んでください。」 「……いいの?」 「いいよ。もっと頼って。駄目なとこも全部見せてください。」 「いっぱいわがまま言っていい?」 「はい。言ってください。俺、北川さんのことうんと甘やかしたいんです。」 「……なまえ」 「なんですか?」 「名前で呼んで。」 綺麗な顔が涙と鼻水でぐしゃぐしゃだ。 俺はそんな北川秋が可愛くてたまらない。 「シュウ」 北川秋はふんわりと笑うと俺の胸に顔を埋めてすぐにスゥスゥと寝息を立て始めた。 その夜俺たちは、しっかりと抱きしめ合って眠った。
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