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14
三日目の朝、俺が目を覚ますと北川秋はベッドの中で既に起きていて、俺の頭をするすると撫でていた。
目が合うと穏やかな笑顔で
「おはよう。」
と言う。
「おはようございます。……もう、大丈夫ですか?」
「うん。アラタのおかげだ。」
「良かった。」
相変わらず俺の頭を撫でている北川秋の手のあたたかさを感じ、心地良さに目を閉じる。
「アラタ」
「はい。」
「ありがとう。」
「はい。」
今度は俺が北川秋の胸に顔を埋める番だ。
俺の毛先をくるくると弄んでいた北川秋が今度はわしゃわしゃと掻き混ぜるのがくすぐったくてたまらない。
「そうだ、北川さん、朝ごはん食べられそうですか?俺、すぐできるように下拵えだけしてあって」
北川秋の手がピタリと止まる。
「北川さん?」
?
「名前で読んでって言ったろ?」
突然、甘える様な声で言われて俺は激しく赤面してしまう。
「そんな、無理、です。」
耐えられず腕の中でもがくけれど、しっかりと抱きしめられて逃げることができない。
「この前は呼んでくれたじゃないか。」
「あっれは……とにかく無理です。」
必死でじたじたと暴れてもびくともしない。
「わがまま言っていいんだろ?」
うぅ、ずるい。
「……シュウ、、さん。」
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