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「あーぁ。名前で呼んでくれるって言ってたのになぁ。これじゃぁ詐欺だよ。」
遅い朝ごはんを食べながら、北川秋が文句を言っている。
「呼んだじゃないですかっ」
「『さん』がついてる。」
「名前は名前です。」
今朝の北川秋は、普段のオールパーフェクトな北川秋に甘えたがりの要素までプラスされて、これはもう落ちるしかないといった感じだ。
俺の作った煮込みうどんをもぐもぐと咀嚼する姿が愛おしい。
だけど俺には聞かなくてはならないことがあった。
「シュウさん。」
「さん?」と抗議の目を向けながらも、北川秋は聴く姿勢をとってくれる。
「なに?」
「あの俺……」
北川秋が好きだ。
気持ちは伝わってしまった。
俺は、このまま側にいて良いんですか?
「……シュウさん、夕飯は何がいいですか?俺あとで買い出し行くので、リクエストなんでも受け付けますよ。」
「ほんとに?アラタが作るものならなんでも嬉しいよ。だけどその前に……」
?
「もう一回ベッドに行かない?」
!
「……はい。」
聞けないよ。
離れたくない。
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