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ある日の午後、打ち合わせのために佐々木さんが来た。
俺が最初にお茶を出しに行ってから、かれこれ2時間は仕事場に2人で篭って話し込んでいる。
時折かすかに声が漏れてくるけれど、何を話しているかまでは分からない。
聞こえてきたとしても俺には関わることのできない分野だ。
俺が少しだけ淋しくなった頃、仕事場から佐々木さんが出てきた。
「あ、岩崎さん、お茶ごちそうさまでした。」
相変わらず笑顔が可愛い人だ。
「岩崎さん、北川先生の作品、またあったかいものになりましたよ。元に戻ったっていうより、パワーアップした感じです。」
と佐々木さんがにこにこ言った。
「ほんとはこういう話をするのはあまりよく無いことなんですが、おそらくこれは岩崎さんのおかげなので。ありがとうございました。」
「いえそんな、俺は何も……」
佐々木さん、シュウさんのことよく見てるんだな。すごい。
そういえば、俺が来る前は佐々木さんがシュウさんの様子を見に来てたってミズキが話してたな。
ズキズキと胸が痛む。
佐々木さんもシュウさんと寝たのか?
だけど俺には嫉妬する資格は無い。
これは仕事なんだ。
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