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数日後。
俺はミズキの友達からメールで送られてきた地図を頼りにその小説家の家の前まで来たのだけれど。
呼び鈴を何度押しても返事がない。
おかしいな、約束の時間なんだけど。
「すみませーん。こんにちはー!」
ためしにドアノブを回してみると、ガチャリとあっけなく開いてしまった。
えぇ、どうしよう。
「こんにちはー……」
まさか、本当に倒れてるとか…?
「入っちゃいますよー。お邪魔しまーす。」
そろそろと廊下を歩いていくと奥の扉のむこうからガタッと物音がした。
「ひっ」
勘弁してくれよ。ホラーは苦手なんだ。
恐る恐る物音のした扉を開けると、男がうつぶせに倒れていた。
「ぅわっだ、大丈夫ですか??」
「うぅ…」と唸る男の顔を咄嗟に覗き込んで、俺はもう一度驚いた。
こんな綺麗な男、初めて見た。
「…ず……」
「えっ??」
「みず……」
あっ水か!!
「ちょ、ちょっと待ってて下さいね。」
俺は人様の家の中をバタバタと歩き回り、なんとかキッチンでコップに水を入れ急いで部屋に戻った。
抱き起こしたものの、男はコップを持つ力すらない様だ。
仕方なく手を添えて口元にコップを近づけ少しずつ傾ける。
コク、と音を立てて男が水を飲んだ。
唇の端から溢れた水がゆっくりと顎を伝っていく。
「ベッド」
「え?」
「ベッド連れてって…眠い……」
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