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酷く喉が渇いて目を覚ますともう夕方だった。
結局眠ってたんだ。俺ほんと、なにやってんだろ。
水を飲もうとキッチンへ向かうとシュウさんがいて、俺に気がついて優しく微笑んだ。
「気分はどう?何か飲む?」
「水を……」
シュウさんはグラスに水を注いで「どうぞ」と手渡してくれる。
あれ、いつもと違うグラスだ……。
何気なく視線を落とすと、キッチンの隅に割れたグラスが片付けられていた。
「もしかして、あれも俺が割ったんですか??」
泣きそうだ。
「え?あっ、あぁこれは違うよ。俺が手を滑らせて割っちゃったんだ。アラタじゃない。」
「シュウさん、あの、俺……」
「なに?」
「俺、他にも何か迷惑かけませんでしたか?」
「なにも?迷惑なんてかけられてないよ。」
そうか……それならあのキスもやっぱり夢だったんだ。
安堵と、少しの胸の痛み。
そうだよな。シュウさんがあんなキス俺にするわけがない。
「それに、さっき話したことだって1つも迷惑だと思ってないよ。」
「そんなわけ、、」
「あぁいうアラタも新鮮で素敵だよ。もっと全部見せて。」
「……全部、見たじゃないですか」
「ん?あぁ、そうだね。見たよ。」
やっぱり全部見られたんだ。
穴があったら入りたいってこのことだよな。
「でももっとほかのアラタも見たいってこと。」
「もう、なにもないです。」
「そうかなぁ…」
シュウさんの視線が俺に絡みつく。
生々しい感覚が唇に甦って俺の体をひどく火照らせる。
全部夢だと分かっているのに。
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