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ふわりといい香りで目が覚めた。
ふかふかの布団、見慣れない天井。あれ、ここどこだっけ…?
…
!!
ガバリと飛び起きる。
そうだ、俺、あの男にベッドに引きずり込まれて…そのまま寝ちゃったのか。
今、何時だ?ていうかあいつは?
そっとベッドから降りて、いい香りのするキッチンへ向かう。
カチャリ、と静かにドアを開ける。
「あのー…」
「あぁ、起きた?」
俺に気づいた男がカウンターキッチンの向こうから爽やかな笑顔を向ける。相変わらずいい男だ。すっかり目が覚めた。
「ごめんね、今日から来てくれるって約束してた子だよね。岩崎くんだっけ?よろしく。」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします。すみません、俺、寝ちゃって……」
「いいんだよ。君のおかげでぐっすり眠れた。毎日一緒に眠りたいくらい。」
「え!?それ、は、ちょっと」
「紅茶飲む?」
「紅茶??いただきます。」
日差しがたっぷり差し込むリビングのこじんまりしたダイニングテーブルで、いい男と向かい合って2人で紅茶を飲む。
いい香りはこの紅茶の香りだったのか。
それにしてもこの状況、俺はまだ夢を見ているのかもしれない。
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