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大きなベッドを初めて思う存分のびのびと使った数日後、シュウさんは深い集中の期間に入った。 俺はせっせと食べるものを仕事場に運び入れ、ぐにゃぐにゃになったシュウさんをお風呂に入れて隅々まで洗ったり、ベッドに連れて行ってしっかりと抱きしめて眠った。 いつも通りといえばいつも通りなのだけれど今回は期間が長く、3ヶ月を過ぎた頃俺は少しだけ不安になった。 ある日の朝、俺が目を覚ますとすでにシュウさんは起きていて、目が合った途端に熱いキスをされた。 シュウさんは執筆に集中している時はどんなに甘えたになってもキスはしないから、俺は心の中で終わったんだな、と安堵し、シュウさんの気が済むまで舌を受け入れた。 「……アラタ。」 「はい。」 何か言いたげな瞳は相変わらず宝石みたいに美してくて、いっそこのまま吸い込まれてしまいたいと思う。 「もう少しだけ、待っててくれる?」 「?」 何を待っていてと言っているんだろう。でも、シュウさんへの答えはいつだってYESなんだ。 「はい。」 それからもう一度だけキスをするとシュウさんはまた眠りに落ち、次に目覚めると、今度こそ長い長い甘えたがりの期間に入った。 そして、2年が経った。
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