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ひとまず俺は家の中を見て回ることにした。
間取りは3LDKってとこかな。
広いリビングにカウンターキッチン。
仕事場にしている書斎と、寝室。
もう一部屋は書庫として使っている様な感じだ。
差し当たってここに荷物を置かせてもらおう。
荷物といっても少しの着替えと歯ブラシくらいなのだけど。
さてと。
もうすることが無くなってしまった。
掃除でもしようかと思ったけれど、どこもピカピカで手を入れるところが無い。
冷蔵庫を開けると、タッパーがキチンと重なっていくつも並んでいた。
ひとつ手にとって蓋を開けてみる。どうやら作り置きの惣菜みたいだ。
午後7時。
米を炊いて、タッパーから惣菜を取り出し、あたためて皿に盛り付けてみた。
すると俺が呼びにいくまでも無く北川秋は仕事場から出てきた。
「ごはん、用意してくれたんだ。」
北川秋はにこにこと言う。
「米、炊いただけですけど。」
「嬉しいよ。ありがとう。」
今日会ったばかりの男と向かい合っての食事が始まる。
「「いただきます。」」
……
……!!
「うっま!!」
思わず叫んでしまった。
タッパーに入っていた鶏肉?の何か。
「これ、北川さんが作ったんですか??」
「そうだよ。おいしい?」
「はい、めちゃめちゃうまいです。感動。」
「たいしたものじゃないんだけど、そんなに言ってもらえると嬉しいな。岩崎くんの炊いたごはんも美味しいよ。水加減が俺好み。」
キュン。
…キュン?
俺は心臓に謎の違和感を感じたまま食事を終えた。
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