メモリアルパレット

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苦い思い出。ラストを迎えようとしていた中学校生活の大切な時間は、キラキラしたものにならなくて、どんよりとしたモノクロームの世界が広がった。明るく振る舞えなくなって、その時仲良くしていた友達も、クラスメートも、みんな私を避けていく。 何とかしなくては。このままじゃいけないと思った。 モノクロームの世界から脱出する方法は一つ、それは卒業式だと思った。高校は彼とも、どのクラスメートとも行き先が違う。だから春休みのタイミングで自分自身を変えようと思った。 でも…結局できなかった。 卒業しても、完全に気持ちを引きずってしまっていた。顔を隠すために伸ばしていた髪の長さを変えることができず、前髪は目に少しかかっていないと不安なままだった。その見た目で高校生になった陽春、新しいクラスで初日に放たれた言葉はこうだ。 「化け物が来たのか?」 …当然、友達は一人もできなかった。 変わるはずだったのに、変われなかったこと。その後悔は、私を奈落の底に突き落とした。 僅かな光さえ見えない場所に辿り着いたようだ。だからこの先、キラキラした世界を拾うなんて…無理だと思っていた。
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