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年季の入った卓袱台の上には色々な食べ物が並んでいた。
民宿の夕食に比べれば圧倒的に家庭的だ。
湯気の立っているだし巻き卵。プチトマト。きゅうりの漬け物。こんにゃくと鶏肉の煮物。さらには鶏肉のからあげ。当然のように焼き魚と刺身もある。
味噌汁は汁より具材の方が多い。根菜中心で、豚肉の入っていない豚汁のようだ。
炊きたての白ご飯を茶碗に山盛りよそわれると流石に目を丸くしてしまった。
「そうそう。取材は体力が資本だからね」
「取材? なんだ、お前、取材しに来たのか?」
いまいち事情を把握していない御蔵夫の質問は流す。
ここまで来たら観念せざるを得ない。俺は両手を合わせて、小さくいただきますと呟いた。
「お前、魚を食べるのが上手いな!」
米粒を飛ばしながら清瀬夫が嬉しそうにしている。
施設ではよく焼き魚が出されていたので、骨を避けながら食べることには慣れている。肉厚で濃厚。港町だけあって、味覚音痴の俺にも美味しさが分かった。
白米もかまどで炊いているらしく、食べたことのないふっくら感がある。
いちばん驚いたのはなんてことないプチトマトだった。
「あま、い」
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