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神楽坂雅。うん。そりゃ、声とかキャラ設定とか、かなり私に似つかわしくなく、めっちゃカワイイを盛って作ってるから、わかりずらいかもしれないけれどさ。
それでも隼には気づいてほしかったな!
さりげなく『Syun』に甘えた声で話してたのが裏目った。女なんてね。こんなものなのよ?現実を見て?彦星川くん。
「ごめん。ごめんなさい。ちょっとですね。急ですみません。俺。一番大事こと思い出してですね。そのーー。大事なひとに謝らないといけないんですよ。でね。本当に申し訳ないです。今日でVちゅうばー引退します!ごめんなさい!」
『はーーーーー?!』
リスナーみな同じコメントが流れていく。
「あーごめんなさい……」
……………
こうして記念すべき彦星川愁人デビュー配信は、たった十五分で引退宣言の配信になるという。前代未聞の伝説を作ったのであった。
そして私はというと……
この配信により、一躍V界隈で話題となり、なぜか『新人Vの初配信に身バレを気にせず痴話喧嘩凸した人妻Vちゅうばー』として人気を博してしまったのだ。
世の中どうかしている。
隼との関係はというと、まあ、なんだかんだあって、今もなお、夫婦している。
単身赴任を終え、戻ってきた直後の隼は、だいぶげっそりしていた。
お灸を据えすぎたみたい。
私たちの長い道中、何事もないに越したことはないけれど、良いことも悪いこともいろいろとあるもんだし、一緒になんとか乗り越えてって、そのうち、ちゃんとした夫婦になるんじゃないのかな。って、そう漠然と思うことにした。
最近は、だいぶトラウマから解放されてきたみたいなので、隼も私の相方として配信に参加したりしてる。
それがまたなぜかウケる。
夫婦漫才のコンビか何かと思われてるのかも。
親が配信中に入ってきてしまうことを、いわゆる『親フラ』というのに因んで、私の配信中に隼が入ると『彦フラ』とディスられ、また界隈で私らが流行る。(意味がわからん!)
その後、なぜかお笑いのタレント事務所からスカウトされて、近々メジャーデビューする予定だったりする。
…………
「はーい。どもー。新人Vの初配信に身バレを気にせず痴話喧嘩凸した人妻Vちゅうばーのー神楽坂雅とー。彦フラでーーす!」
「なんでよ?!」
『wwwwww』
『www』
…………
おわり
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