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「それは……見て……分かった……。……えっと……まさか。……付き、合ってるって、いうの?」
「俺たち。本気なんだ」
やっぱり思考が追いつかない。
「は?」
「ごめん!夏美。でも、どうしても俺、雅ちゃんのことが好きなんだ。好きになってしまったんだ」
私は背もたれに身を預けて、惚けてしまう。天井をボケ―っと見る。そして考える。
誰だ。こんな中二病と結婚したのは。
私か。
まさかのガチ勢……
「い、い、いつ知り合ったのよ」
「だ、だから、三か月前……」
「どこで」
「ここで」
隼はスマホを見せる。
あぁ。そうか。何となく察し。
「付き合ってないよね?付き合ってるうちに入んないよね?」
「い、いや。配信中に、コメントで」
「はー?配信のコメントォーッ?!」
隼は慌てて別の動画を再生させて私に見せる。
「ほら!ここ!これ!31:00の。俺の書き込み!『雅ちゃん!愛してる!』って書いたやつ。そしたら。ほら、ほら。次!聞いて聞いて?」
自分のアカウント名『Syun』のアイコンと、コメント指さして得意げだ。
動画の神楽坂雅が萌え声で、笑って言う。
「キャハハ!やっば――い!Syun君にこっくらっれっちゃったーー!あはっ。えっとぅ。みやびもー……。Syun君のこと。あ・い・し・て・る!キャハ!言っちゃったー。もう相思相愛だねー。だから、Syun君はわたししか見ちゃだめだからね!浮気したらダメなんだからね!」
あぁもう。恥ずかしい。私は顔を手で隠して赤くなる。
ああ。あほや。
ほんまもんのあほや。
やはりこいつには事実を伝えてやらんといけない。
生配信でリスナーからのコメントに、次から次へと反応している神楽坂雅。
彼女の言うことを真に受けてのぼせてる隼。
そんなの、アイドルに熱を上げるヲタクと一緒だだろう。
離婚したいと思うか?普通。
意味が分からない。
どうする?私はどうしたらいいんだー!
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