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「え?これ。ホンモノ?まじで!やばい!この神楽坂雅ってアイコン。ホンモノだよね!」
やっぱり気づいた。
私のアイコンに食いついた。
けれど、まだ肝心なことを気づいてない。舞い上がっていて、それどころじゃないみたいだ。
なんで彦星川愁人のことを『Syun』呼ばわりしているのか。わかってない。
色ボケした主人に腹が立ってきた。
続けて私はコメントを打つ。送信。神楽坂雅のコメントが表示される。
『隼のバカーーーー!!なんで私が神楽坂雅だって、気づいてくんないんだよーー!!』
「え?なにこれ?え?だれ?」
隼は自分の名前がバレてることに動揺してる。
他のリスナーもザワザワし始めてきた。『Syunってだれ?』『神楽坂雅ーーホンモノだーwww』『え?どういうこと?』
「えーーとーー。ちょっと待って下さいねー」
考えてる。考えてる。焦ってる。焦ってる。もうすでに放送事故レベルの沈黙が続く。
だんだん私は楽しくなってきた。追い討ち送信。
『私は『Syun』が隼だってすぐ気づいたよ!だから他のリスナーには好きって言ってたし、愛してるなんて隼にしか言ってないから!ちゃんと『彼氏いるの?』って聞かれた質問にも『彼氏はいないけど大事なひとはいます』って答えてたじゃない!大事な人は隼なんだよ!なんで気づいてくれないんだよーーーー!💢💢』
そう。私は、半年前から隼に内緒で先に、神楽坂雅という名義でVちゅうばーをはじめていたのだ。
だって平日の夜が暇すぎなんだもの。
コメントが止んだ。
隼も黙ってしまった。
しばらくするとぽつぽつとまた、コメントが流れ出す。そのどれもが疑問符つきだ。
「え?もしかして、夏美……?」
『隼の!バカーー!そうだよ!』
「嘘だぁぁア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
ああ、もう彦星川くん半狂乱。
他のリスナーはなんだかいろいろ騒いでいてコメントが荒れている。
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