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あれ以来、たくまはおもちゃに悪さはしなくなった……とまではいかないが、以前よりはイタズラしなくなった。ふざけておもちゃで遊んでいた様子を、ななみに「カッコ悪い」と言われたようだ。
功を奏して、 我々の日常は緩やかに穏やかになっていった。
それから――
「まあ、右腕がこんなになって」
ソフィーが痛々しいソルを見て、優しく手当てしてくれていた。
「あちらに見えるのはどなた?」
ソフィーの視線の先にはカズがいた。
「ヒーローのカズです。……あ、あの……よかったら今度一緒に散歩でも……」
勇気を出して告白し振り返ると、ソフィーの姿はなかった。いや、カズと楽しそうに話をしている。
「思いっきり泣きなさい」
優しくラビリンが慰めてくれた。
おもちゃの、おもちゃによる、おもちゃのための日常が始まろうとしていた。
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