神様の落としもの

1/2
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
 神様が何かを一生懸命探していました。  それを見かけた天使は、滅多にない様子だったので心配になり尋ねました。 「神様、どうしたのです?」 「無いのじゃ……」 「……何がですか?」  天使の中に嫌な予感が走りました。  何しろ神様は万能です。  その神様に見つけられない物があるなんて……。 「天罰じゃ」 「え?」 「小さい奴なんじゃがな。天罰をどっかに落っことしてしまったらしいのじゃ」 「小さいとはいえ天罰です。無害の人に当たっては……」 「その点は心配あるまい。天罰は無害な人には直接当たらんようになっておる」 「ああ、それなら……」  天使はホッと胸を撫で下ろしました。  ですが、神様の顔色は優れません。 「まだ何か心配事が?」 「ワシの意思で落としたわけでは無い天罰が、どんな動きをするのか予想もつかんのじゃ」 「でも小さいんでしょう? 」 「確かにな。当たっても精々ちょっと痛いと言うレベルじゃ。大事にはならんじゃろうがな……」 「とはいえ、気を付けてくださいよ? 例えかすり傷程度であっても、天からの罰なのですから。きちんと神様には制御していただきませんと……」 「分かっとる分かっとる。すまなんだな。今後は気を付けるよ」  神様は小さく笑い、天使の頭を撫でてやりました。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!