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なんということでしょう。助三郎が目覚めると、とある武士の小さな領土を一つ手に入れていたのだ。
「一体、なにをしたのだ」
「あなたを操り、ちょっとした戦で武勲をあげさせたのです」
そばにいた小神に訊ねると、小神は胸を張って答えた。が、助三郎の背中は一気に凍りついた。
「なんだって。そんなことしたら、おらはこれからも恐ろしい戦場に行かなきゃいけないじゃないか。農民に戻してくれ」
「わかりました」
また助三郎の視界は暗くなり、気づいたときには馴染みの小屋に戻っていた。
「……もしかして、これで二回か」
「この状態を納得してくれるなら、一回です」
「どういうことだ」
「叶えてもらった者が納得しなければ、回数に入りません。土地を得たのを納得しなかったので、あれは回数に入りません」
「そうだったのか。ならば、まだ二回あるんだな」
「はい。ですが……。武神に憧れていた私は、戦で勝利に導く方法しか知らないんです」
「そっか。相手を間違ったな。おらのとこを去るか、おらが喜べるように叶えられるよう学ぶことだな」
「では、機会はまだあるということでいいですか。契約者が私との契約を確実に切らないかぎり、その者の願いを叶える契約は続きます。
では、私は他の術を学んで、一年後にあなたの願いを叶えに参ります」
小神はすっと立ち去った。
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