先生の苦悩

3/4

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
月末の金曜日 高校からの友達3人で飲むことにした。ちょっと校区から離れた居酒屋で、個室だし、父兄に会うこともないだろう。気兼ねなく飲めそうだ。 降りた駅で待ち合わせた川辺(かわべ) たく。 「久しぶり」 「おぉ 久しぶり」2ヶ月ぶりぐらい?とか話ながら、店に向かう。途中もう1人の 佐久間(さくま) 冬児(とうじ)からメッセージが届く。 『先に入ってる』 「冬児 先に入ってるって」とたくに伝えて俺らもいそぐ。 「「乾杯」」3人でジョッキをあわせる。  「お前今日 彼女は?」たくが冬児にたずねる。 「友達とうちで鍋するんだって、追い出された感あるわ」冬児には1年くらい同棲している彼女がいる。会社の後輩で、彼女にコクられて2年ほどたつらしい。  「相変わらず仲良くやってんだな」 「まぁな」と冬児は笑う。 「お前らどうなんだよ?」逆に冬児が俺たちを見る。 「たくは?ほらこの前言ってたあの人は?」 そういえば、前に会ったとき、たくの勤めてる洋服屋によく来てくれる、年上っぽいおねぇさんにアプローチかけられてると言っていた。 「実はさ、この前はっきりと告白されてさぁ」 「まじか!」俺も冬児もくいつく。 「言っても店員と客って関係で、プライベートはお互い知らないし、とりあえず来週飯行く約束して、連絡先だけ交換した。正直、これってありなのかなぁ?とか悩むけど、でも俺も真剣に考えてるし…。いいかな」 「そのおねぇさん、勇気あるな」俺は思わずため息をつく。 「なにお前、あのパン屋さん、まだ見てるだけなの?」たくが目を見開く。 「まじで?あれから2ヶ月くらいたつから‥半年くらい進展なし?」冬児もあきれたように俺を見る。  「こないだちょっと話したよ」 「なんて?」そう聞かれて、この前のことを話した。 「いや、それ、進展してないじゃん!」 「店員と客の会話だな。ぎりぎり常連?」俺的には大きな一歩だったのに、 二人からバッサリと切り捨てられた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加