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月末の金曜日
高校からの友達3人で飲むことにした。ちょっと校区から離れた居酒屋で、個室だし、父兄に会うこともないだろう。気兼ねなく飲めそうだ。
降りた駅で待ち合わせた川辺 たく。
「久しぶり」
「おぉ 久しぶり」2ヶ月ぶりぐらい?とか話ながら、店に向かう。途中もう1人の 佐久間 冬児からメッセージが届く。
『先に入ってる』
「冬児 先に入ってるって」とたくに伝えて俺らもいそぐ。
「「乾杯」」3人でジョッキをあわせる。
「お前今日 彼女は?」たくが冬児にたずねる。
「友達とうちで鍋するんだって、追い出された感あるわ」冬児には1年くらい同棲している彼女がいる。会社の後輩で、彼女にコクられて2年ほどたつらしい。
「相変わらず仲良くやってんだな」
「まぁな」と冬児は笑う。
「お前らどうなんだよ?」逆に冬児が俺たちを見る。
「たくは?ほらこの前言ってたあの人は?」
そういえば、前に会ったとき、たくの勤めてる洋服屋によく来てくれる、年上っぽいおねぇさんにアプローチかけられてると言っていた。
「実はさ、この前はっきりと告白されてさぁ」
「まじか!」俺も冬児もくいつく。
「言っても店員と客って関係で、プライベートはお互い知らないし、とりあえず来週飯行く約束して、連絡先だけ交換した。正直、これってありなのかなぁ?とか悩むけど、でも俺も真剣に考えてるし…。いいかな」
「そのおねぇさん、勇気あるな」俺は思わずため息をつく。
「なにお前、あのパン屋さん、まだ見てるだけなの?」たくが目を見開く。
「まじで?あれから2ヶ月くらいたつから‥半年くらい進展なし?」冬児もあきれたように俺を見る。
「こないだちょっと話したよ」
「なんて?」そう聞かれて、この前のことを話した。
「いや、それ、進展してないじゃん!」
「店員と客の会話だな。ぎりぎり常連?」俺的には大きな一歩だったのに、
二人からバッサリと切り捨てられた。
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