先生の苦悩

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いっきに“進展した”という自信がなくなる。 「むらさ、こんなに慎重だった?」冬児に言われて首を横にふる。  「たとえそのパン屋さんが、むらのこと気になったとしても、半年も何も進展なかったら、あきらめちゃうと思うよ。」たくも続ける。 「職場の先生が “店長の奥さんかも”とか言うから、なんか気になって話しかけずらくなっちゃって」正直に話す。 「うぶかよ。」たくがビールをあおる。 「だな。まず気になるなら聞けよ」たくの言葉に冬児もうなずく。 「それができたら、とっくに話しかけてるよ」 「奥手かよ。そのルックスで(笑)」 「ゆっくりいくのはいいけど、こじらせてストーカーまがいなことになるなよ」 「それな」 自分でもわかっている。 「まぁ、むら 昔からモテたし」な?とたくが冬児に同意を求める 「だな 見た目もわるくないし。優しいし物憂げな感じが、なにげに女子に人気あったしな」 「そうか?」持ち上げられて嬉しさは隠せない。 「でもさ、年も重ねたし、待ってるだけってなしかもよ」 たくの言ってることは、もっともだと思う。いつまでも受け身なだけでは、うまくいかないことだってあるだろう。 「ましてや店員さんの立場からしたら、お客さんたくさんいるし、よっぽどじゃなきゃ、いちいち気に止めないかもよ」 やっぱり、友達に話してよかった。 友達って大事だなぁ、とつくづく感じつつ、久々の宴を遅くまで楽しんだ。
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