日常と非日常

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日常と非日常

日曜日だった。 夕方に少し買い出しをした帰り、駅の付近の裏道を通る。表の通りに比べて人通りはまばらだ。  「あれ?」ふと、後ろからかけられた、聞き覚えのある声が耳に届く。 「こんにちは」というその声に、振り向くとそこには、お店と変わらない笑顔の佐倉さんがいた。 「あ こ こんにちは」あわててテンパってしまう。 「わかります? パン屋の‥」佐倉さんは、俺が誰だかわからないで困っている、と勘違いしたらしく、自分がパン屋であると説明してきた。 「あ わかります」慌てて、俺も笑顔になって会釈する。 「今 お帰りですか?」とりあえず、当たり障り無さそうなことを聞いてみる。 「はい。日曜はバイトの子も多いので…」 そうか、いつもはまだお店にいる時間だよな。 少し沈黙がある。せっかくだしもう少し話したい。考えて出てきた話題は、 「なんか 雰囲気違いますね」だった。 チノパンにトレーナーだ。かわいいけどおしゃれしてるとは言えないよな。仕事帰りだし当然な服装だけど、話題としては違ったかも‥。 「はは‥仕事帰りで‥」と曖昧に笑う佐倉さん。やっぱり間違えた! 「先生も私服で雰囲気違いますね」佐倉さんも俺を見て言った。 「なんかいつもより、若く見えます。」ちょっとべろを出して、冗談です。と言った後、 「ごめんなさい “先生”なんて 勝手に呼んじゃって 前にそう呼ばれてたの聞いたからつい‥‥」と謝ってきた。
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