21人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
好きな人に呼ばれる“先生”の破壊力 半端ない。俺はどうでもいいことを考えていた。
「なんか、生徒や保護者の方以外にそう呼ばれるのなんか新鮮」
「なんか、ごめんなさい」
「いやいや、新鮮で嬉しかったです」ちょっと微妙な空気が流れる。いやな空気ではないけど…。気まずい。
「あっ 電車の時間」佐倉さんが駅にある時計をみる。
「また、パン買いにきてください。お呼び止めしてごめんなさい。じゃ」と佐倉さんが小さく手をふる。
「あっはい 気をつけて」と俺もつられて小さく手をふってしまい、はっとする。
駅の中に消えていく佐倉さんを目で追いかけながら、なんか恋人っぽい別れ方じゃん?とにやけてしまう。
かなり距離、近づいたんじゃね?それより、佐倉さんに“先生”と呼ばれた声が、耳にこだまする。半年の片思いが進展したような気持ちに、少し浮足立ってしまう。休日の終わりで重いはずの足取りも、急に軽くなった気がした。
最初のコメントを投稿しよう!