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「あーらずいぶん楽しそうね」そんな私を見て、パートの柳さんが笑う。
お茶を飲みに来たようだ。
「ごめんなさい。気色わるいですよね」一人で笑ってるとか怖いよね。
「いいのよ。泣いてたり怒ってたら心配になるけど」ふふっ と笑う柳さんは、パン屋で働く事が決まっていたみたいに、パン屋が似合うおばさまだ。
「なんかいいことあったみたいね。あっ もしかして先生?」みんな勘が鋭い。
「さなちゃんやっぱり分かりやすい」みんなが勘が鋭いんじゃなくて、私がわかりやすいのか?
「実は、昨日駅で偶然先生に会って、少しお話しちゃったんです」
「あらあら ちょっと進展じゃなぁい」ワクワクしちゃうわねぇ、と微笑んでくれる。
「ふふ 私服みれてプライベートを垣間見た感じは素直に嬉しかったです」パンを一口食べる。
「でも、ちょっと違う一面をしちゃったら、またこの先ももっともっとって」はぁ 思わずため息が出る。
「まぁ 恋の始まりって感じね」柳さんは、自分のことみたいにワクワクした目で私を見る。
「さなちゃんは貪欲なくらいが、ちょうどいいんじゃない?」
「え?」
「だって、ちょっと奥手すぎるもの。」
そういって、柳さんはニコッと笑って、お店に戻っていった。
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