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「スタッフ以外の男の人と最近話してないっしょ?それって進展じゃない?」
まぁ確かに。最近合コンも行ってない。周りがみんな彼氏持ちになって来たからだなぁ。
「さなちゃんて一途っぽい」ね?ときいちゃんは店長に同意を求める。店長は 「うーん どうなんだろ」とかいってる。
「でも それで“重い”って言われたこともある」
そういえば、最後に好きな男にいわれたなぁ『おまえさぁ 俺を待ってること以外やることないの?そういうの重いんだよ』
はぁ 思い出しても悲しくなる。
「さなちゃん普通にかわいいし、ちょっとぬけてるとこあるけど、性格もいいし、お客さんの中にも狙ってる人いると思うんだよねぇ」と言って、きいちゃんはお水を一口飲む。
「帽子かぶって、マスクしてることも多いから、さなちゃんのかわいさに気付かないのかなぁ」自分のことみたいに不満げに呟く。きいちゃんは私と同じくマスクに帽子でも、かわいさがにじみ出ているよ、と心のなかで思う。
「でも、私服で会ったんなら、あの人さなちゃんのかわいさにドキドキしちゃったかもね」ときいちゃんは嬉しそうに笑う。
「私がかわいいかどうかは別として、あの日の私の私服はまじで普通過ぎて、 思い出しても悲しくなる(笑)」
「さなちゃん、いつも私服かわいいと思うよ」店長が珍しく、優しい言葉を掛けてくれる。
「お世辞でも嬉しいです。まずは日頃からの女子力だなぁ。自分磨き的な?」と言ったところで、食事が運ばれてくる。
「お待たせしました。満腹もりもりセットです」
全員の前に置かれたメニューをみて
「女子力な」ときいちゃんが笑った。
「腹が減ってはなんとやらってことで」と私は目の前で手をわせて
「いただきます!」とご飯を口に運んだ。
そんな私を、店長がおかしそうにでも優しく笑って見ていた。
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