店長の思惑

1/3

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ

店長の思惑

閉店後、。 残ってくれたスタッフを誘って夕飯に行く。 たまにこうやってスタッフと親睦を図る 俺は加宮(かみや) 和哉(かずや)。町のパン屋の店長だ。末っ子長男で実家のパン屋を継いでいる。少し年の離れた姉が2人いる。姉にかわいがられて育ったせいか、よく『優しい』と言われる。実は、保母さんもやってみたかったが、パン屋もやってみるとなかなか楽しい。スタッフも、いろんな年齢の人がバランスよく仲良く働いてくれている。両親は少し早めに隠居して、不動産収入などで優雅に暮らしている(笑)。近くの中学校からの注文もあり、商売もうまく行っている。店を任される少し前に結婚をしたが、パン屋も俺の“優しさ”も彼女にそぐわなかったようで、2年ももたずに終焉を向かえた。 そのあと、店を継いで仕事に邁進した。スタッフの中でも、正社員として一緒に頑張ってくれた。佐倉 紗愛。さなちゃんはお客さん受けもよく、俺に替わってお店の“顔”になってくれた。年のわりにはちょっと幼いし、バイトの子と同じような感じだけど、とにかくパンがすきで、接客もうまい。パートさんにも可愛がられて、うまく店を回してくれている。と俺の目には映っている。そんな子を好きになるな、と言うのが無理な話だ。でも彼女には彼氏がいた。彼氏のために毎日バイトの子と入れ替りで早く帰って、とにかく尽くしているようだった。が ある日から、ラストまで働いてもいいか?と言い出した。もちろんありがたいし、願ったり叶ったりだ。別れたのかも、とおもったけど、 あとから聞いたら、彼氏に『家で待ってることが“重い”』と言われただけだった。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加