優柔不断

3/3

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
冬児の話を聞いてふと思う。  「男の人いたんだ?」と冬児に聞く 「あぁ おばさんに“店長”って呼ばれてたよ。若そうだったけど、言われたら店長っぽい雰囲気はあったなぁ」 あの日の駅のことを思い出す。駅で彼女を見送るあの男がもし店長なら、目があったのは気のせいじゃない? 「もしかして、駅で佐倉さんを見送ってたの、その店長かも?」思ったことを口にしてみる。 「だとしたら、付き合っててもおかしくないよな?」と自問自答する。 「いや、可能性あるけど、半々じゃね?」 「俺もそう思う」2人は俺の暴走を防ぎにかかってくれる。 「とりあえずさぁ。本人に聞いてみなよ」 「は?無理無理」 「いやいや、どうせ会えない状態が続くなら、はっきりさせたほうが、心身ともに楽だろうよ」この期に及んでまだ渋る俺に、たくはしびれを切らす。 「もしだめならパン屋には行けなくなるけど、今のままじゃ諦めきれなくて ずっとうじうじしたままだろ?」冬児も俺のことをよくわかっている。  「職場も住んでるどこも違うし、はっきりさせたほうが、後悔もしないと思うよ」 決心はつかない、でももうそれしかないってわかってる。 「勇気いるよな。自分からコクるの?」 「むらにはハードルたかそうだけど、俺ら応援してるよ」 「ダメだったら、また飲みでも飯でもつきあうよ」ちゃかして笑ってくれる二人。 「いや ダメじゃないほう願ってくれよ」突っ込みながら、俺も前向きになろう と思った。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加