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冬児の話を聞いてふと思う。
「男の人いたんだ?」と冬児に聞く
「あぁ おばさんに“店長”って呼ばれてたよ。若そうだったけど、言われたら店長っぽい雰囲気はあったなぁ」
あの日の駅のことを思い出す。駅で彼女を見送るあの男がもし店長なら、目があったのは気のせいじゃない?
「もしかして、駅で佐倉さんを見送ってたの、その店長かも?」思ったことを口にしてみる。
「だとしたら、付き合っててもおかしくないよな?」と自問自答する。
「いや、可能性あるけど、半々じゃね?」
「俺もそう思う」2人は俺の暴走を防ぎにかかってくれる。
「とりあえずさぁ。本人に聞いてみなよ」
「は?無理無理」
「いやいや、どうせ会えない状態が続くなら、はっきりさせたほうが、心身ともに楽だろうよ」この期に及んでまだ渋る俺に、たくはしびれを切らす。
「もしだめならパン屋には行けなくなるけど、今のままじゃ諦めきれなくて ずっとうじうじしたままだろ?」冬児も俺のことをよくわかっている。
「職場も住んでるどこも違うし、はっきりさせたほうが、後悔もしないと思うよ」
決心はつかない、でももうそれしかないってわかってる。
「勇気いるよな。自分からコクるの?」
「むらにはハードルたかそうだけど、俺ら応援してるよ」
「ダメだったら、また飲みでも飯でもつきあうよ」ちゃかして笑ってくれる二人。
「いや ダメじゃないほう願ってくれよ」突っ込みながら、俺も前向きになろう と思った。
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