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先生と店長
たくと冬児に背中を押してもらったのに、なかなか行動にうつせないでいた。へたれだというのは痛いほどわかっている。
ある放課後。佐藤先生と2人で校庭を見回っていると、生徒が声をかけてくる。
「男2人で校庭でデートとか草」
「羨ましいか?」佐藤先生は、うまく生徒をあしらう。
「人気の先生ツートップだもん。萌えシュチュだよ」
「なんだそれ?」
「先生たち人気あるんだよぉ。腐女子に」
「うんうん、こんなかっこいいのに、彼女いなそうだし。」
あぁそういう目でみられちゃうんだ。最近の中学生は進歩的だ。とか感心してるばあいじゃないか。
「ただの見回りだよ。下らんこと言ってないで部活行け」と佐藤先生が生徒を促す。
「はーい。またね」と生徒たちは手を振りながら、走っていく。
「すごいものがはやってますよね。『腐女子』とか」
「まぁ、人には言えない趣味ではなくなって来たということですかね?」佐藤先生は苦笑いだ。
「LGBTとか教えてる反面、あまり積極的に理解するのも考えちゃいますよね」
「確かに。男2人で話しただけでそういう目で見られると、なかなかシビアな問題ですよね」はははっと佐藤先生は笑った。
「“彼女います”とか、わざわざ生徒に言わないですもんね」と言われて、
「え?佐藤先生彼女いるんですか?」とか失礼なことを聞いてしまった。
「いますよ。そろそろ身を固めてもいいかなぁと思ってるんですよね。」
佐藤先生は、気を悪くすることなく答えてくれる。
「相川先生はフリーですか?生徒の中にはいろいろ聞いてくる子もいるから、独身の教師もなかなか大変ですよね」
「あぁ まぁ」曖昧に笑って答える。
そうか、彼女いるのか。取り残された気がしてなんか寂しくなる。
「さぁ 俺は部活の方をみてきますね」
佐藤先生は爽やかに去って行った。
彼女かぁ。迷うことなく佐倉さんを思い出す。今日か?今日だな。思い立ったが吉日だ。よし、パン屋さんにいこう。なんか今しかないって気がして、早く仕事を終わらせて、パン屋に向かった。
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