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5分位だったと思う。2人も黙って私を見守ってくれた。
「ごめん」
「いいよ」
「何か思ってること口にしたら、気持ちが楽になった」
「そうか、よかった」
「でもさ。それ本人にもちゃんと話したら」葉瑠と瞬太は、ね?と目配せする。
「お客さん失くすとかさ、そういうの考えないでさ。だいたいもうお店来てないなら、なおさら気にしないで当たってみたら?」
「そうだよ。それこそほんとに先生が転勤とかしたら、後悔するから」2人に言われて少し勇気が出る。
「結果がどうあれ、その先生の気持ちを知ってるのと知らないままなら、知ったほうが後悔しないと思うよ」
「葉瑠 瞬太 ありがとう」やっぱり1人で考え込まないでよかった。わたしにはこんなに頼もしい味方がいる。
「お店休みの日に学校行ってみる」気持ち伝えるよ。
「うん。俺らは全力でさなのサポートするから、さなは全力で青春してこい」瞬太が胸を張る。
「なんだそれ?おじさんぽい」と葉瑠は笑う
「確かに。瞬太ってほんとにおしい男だよね」と私も笑う。それな、と葉瑠も私に同意してさらに笑う。
「いや おしいってなんだよ」瞬太も突っ込みながら嬉しそうだ。
2人ともほんとにありがとう。
その日は、遅くならないうちにってそうそうに解散した。
「遠慮しないで、いつでも連絡しておいで」葉瑠の言葉に「うん」と頷いて、 私は2人より先に電車を降りた。ふざけあいながら私に手をふる2人は、もはや夫婦でもおかしくないと羨ましく思い、私も頑張ろうと気合いを入れ直した。
もう、1人の時間もかなしくはなくなっていた。
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