せんせいとパン屋さん

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せんせいとパン屋さん

月曜日— 結局パン屋の閉店間近になってしまった。  今日こそは、と思い早めに仕事を片付けたが、教師同士の雑談に花が咲いてしまい、部活上がりの先生とまで話していたら、まもなく7時になってしまうほどだった。 急いでパン屋に向かう。 よかったまだ明かりがついている。店に近づくと、佐倉さんがバイトらしき女の子と笑いあっているのがわかる。 緊張を和らげるために深呼吸をしてから、自動ドアを開ける。 「いらっしゃいま‥‥せ」佐倉さんが俺の顔を見て、勢いを失う。 でもすぐに満面の笑顔で 「いらっしゃいませ」とやさしく繰り返した。 営業用なのか、なんなのか感情が読めず、 「ども」と頭を下げる。いつの間にかバイトの子はいなくなっている。 「あの」パンを見ずにいきなりレジに行く。一瞬、え?と言う顔をした佐倉さん。 「あの、佐倉さん」佐倉さんの顔が、あかく染まった気がする。 「実は、お話ししたいことが‥‥」と言うと、  「あの、もうすぐ閉店であがるので、ちょっと待っててもらえますか?」と佐倉さんからお願いされる。あっそうか。ここ、佐倉の職場だもんな。  「あっ、は、はい。じゃ外のベンチのとこで、待ってます」と答える。  そして思い出す。 「あっ 食パン」と声に出してしまう。佐倉さんは、ふふっと笑って、 「はい、ご用意します。ありがとうございます」と食パンを包んで俺に渡す。 久しぶりの彼女の笑顔に、胸が高鳴る。 支払いをして 「じゃまた後で」と店を出た。 「ありがとうございます」佐倉さんと、いつの間にか戻ってきたバイトの子の声に見送られる。
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