せんせいとパン屋さん

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月曜日—  今週中には、先生に気持ちを伝える、と決めたら気持ちが前向きになる。 「なんかさなちゃん今日いい感じ」ときいちゃんが、私のほっぺをツンツンする。 「いや、私パンじゃないから」ツンツンしても、中身わからないから。てかパンもツンツンしちゃだめ。 2人でわちゃわちゃしながら、閉店までの時間を楽しんでいた。  「今日はわりといい感じの客足だったね」 「ここんとこ忙しかったしね。タウン誌とはいえ影響力あって、ほんとありがたい」なんて笑いあっていたら、お店のドアが開く。 「いらっしゃいま‥せ」振り向いてびっくりする。先生‥‥。 「いらっしゃいませ」すぐに笑顔を作って、言い直す。ただ顔を見れただけ、私に視線をあわせてくれてるだけで、うれしい。しかも、今日は眼鏡かけてる。目が悪かったんだ。初めて知った。萌えすぎで心音がはんぱない。きいちゃんは、すぐに気を利かせて奥に入る。先生は、なぜかパンも見ないでまっすぐ、レジの私のまえまで進んでくる。え?何?  「あの」少し目を泳がせる、奥からきいちゃんの視線を感じる。  「あの、佐倉さん」名字を呼ばれてドキッとする。 「実は、お話ししたいことが‥」やだ、そんな言い方、期待しちゃう。でも店の奥からみんなの視線を感じて、あわてて先生の言葉を遮る。どちらにしても恥ずかしい。 「あの、もうすぐ閉店であがるので、少し待っててもらえますか?」先生ははっとしたようにあわてて、 「あっ は はい。じゃ外のベンチのとこで待ってます」と言った。そのあと思い出したように食パンを買って外へ出た。 「ありがとうございます」なんかかわいいな。先生の話がよくても悪くても この時間を大事にしよう。せっかく先生か作ってくれる時間だから…。 「さなちゃん。もうあがっていいよ。きいちゃんいるし」と店長か言うと、きいちゃんも職人さんも頷いてくれる。  「でも…」 「待たしちゃかわいそうじゃん」ときいちゃんに言われて、 「ありがとうございます」とお言葉に甘えることにした。急いで着替えて  「お疲れ様でした」とみんなに挨拶する。 「お疲れ様」みんなの笑顔に背中を押されて、お店を出た。ほんと私は仲間に恵まれているなぁとつくずく思う。
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