願望

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 夏の夕陽が燃え尽きると、私の女がやってくる。  私の神が創り給いし女。  夜に会うのが相応しい、夢のような女。  夜闇が寂れた商店街にも降りて、あちこちでシャッターを閉ざす音が響く。  私の店は、まだ明かりを消さない。軒の明かりを誘蛾灯のようにして、夜の古本屋という場所を訪れる物好きな客を待つ。  こんな時間になっても店を閉めないのは、そもそもは私の気まぐれだった。  だが先月からは、あの女を待つために店を開けている。  ユメノ。  女は以前そう名乗った。下の名か上の名か、そこまでは知らない。若いだろうが正確な歳もわからない。身体つきで成人してるようにも見えれば、大きな目をした顔立ちが少女にも見えた。  私は初対面でユメノに、不思議な好感を持ったのだ。女に対しては気難しいはずの私が。  この好感の正体はすぐ後にわかって、私に天啓のようなものを与えることになった。
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