後ろの正面

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君はいつだって僕になんでも話してくれる。嬉しい話、楽しい話、くだらない話、恥ずかしい話…。新しい恋をした時も、だめになった時も、毎回真っ先に僕に話してくれる。僕の前では取り乱したり、泣いたり、へこんだり、怒ったり、ダメなところも全開だった。 「なんで?」 って聞いたら、 「なんでって、特別だからだよ」 って君は言った。 ぼくは君の特別。それが僕が君に求めることの許される最大の幸せ。僕はこの言葉にすがってきた。僕は、君の特別。特別な友達。 友達という言葉が僕をじわじわと苦しめたけど、特別という言葉が僕を保っていた。 絶対にばれてはいけない。いつも君のことばかり考えていること。ほんとうは僕じゃない誰かに君が恋する話なんか聞きたくないこと…。 もし想いを打ち明けたら君の特別でいられなくなる。きっとただの友達ですらいられない。 だって、君は絶対僕をそういう意味で好きにはならないから。 君の一番の理解者の僕が言うんだから間違いない。
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