後ろの正面

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君が付き合うのはたいてい君自身に似た明るくて活動的で目立つタイプ。大抵は向こうから好きと言われて付き合い始める。そしてたいてい向こうが君を好きになりすぎて、君を変えようとする。君を試そうとする。 あれは僕たちが再会したての頃。君から恋の相談を受けた。告白されたから付き合おうと思っていると。これが僕の一回目の失恋。付き合いはじめて、また相談を受けた。相手が君を好きになりすぎて、君は窮屈になり始めていた。相談している間にも、連絡があった。どこでなにをしてるかの確認。君は正直に答えた。それは多分、電話の相手には嬉しくない答えだったと思う。電話を切った君が困っていた。 「今から会いたいって言われた?」 と僕は言った。君は少し驚いてからうなずいた。 「行ってあげないの?」 「こういうのやだ。」 「好きなんでしょ。」 「もう、わかんない。」 そんなに難しい話ではないよ、と僕は思った。恋人にしてみれば、自分より優先する、自分より長い時間を過ごす他人が居ることは面白いわけがない。世の中には「私と仕事とどっちが」なんて選択肢があるくらいだ。自分と自分以外の何かとさえ比べてしまうのに、自分と自分以外の誰か、そのどちらを優先するのかが恋人の関心事なのは当たり前だ。
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