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老猫も、よくあるあるの動物好きが人語で話しかけてあやすそれだと思って見向きもしなかった。
次に自分はこう囁きかけた。
「立ち入った事を聞くようですが…もう長くないのですか?」
すると老猫は薄目を開けてこちらを見た。
「アンタ、こっち側の言葉が判るのかい?」
「ええ、嗜む程度には」
「どうやって?いつから?」
今度はぴょんとテーブルに飛び乗ってきた若猫が興味津々に僕に尋ねた。
「いつからというのは思い出せませんが、親が言うにはひいおばあさんが有名な祈祷師だとか、そうでないとか。血筋かもしれないです」
二匹の猫はたしかに嗤った。
この不敵な笑みは果たして僕以外の人間も察知できるものなのかは不明だ。
やっぱりレンドルミンが効いているのだろうか。それとも才能か。
「オイラも正直、迷ってるんだ。死に方をね。だんなの目を盗んで姿をくらますか、はたまたわざと舌でもびろんと出してカッチコッチに横たわっちまうかってね」
「お前さんならどうする?」
「僕ではなく、実家の…ポコという猫の話ですが、死ぬ数か月前からいつご飯を食べたかわからないくらい毎日わめき散らかしてました。僕の母は見かねてポコを屋内から、庭のケージに隔離しました。するとある早朝、いつものようにポコが大声をあげているなあと母が確認しに行った時ポコは玄関を
掻きむしって絶命していました」
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