揺らぐウェイヴ

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これは九月初旬の昼下がり。 コロナ禍で大学は閉鎖され、高校時代から片りんを見せていた双極性障害…つまり躁うつ病によりずっと寝込んで、バイト先も無断欠勤しているうちにクビを告げる留守電。 今朝は精神科に薬をもらいがてら診断してもらうと医者は 「昼夜逆転の生活を変えていく努力をしましょう。通院以外にも自分で目的、理由付けをして日中に外に出るよう自身に働きかけていく努力が今後の治療には必要になって来ます」 不要不急の外出は控えろだとか、うつ病はもっと外に出る努力をしろだとか… いったい世間は大学一年生の僕に何が言いたいんだろう。 学費の割に合わないオンライン授業、顔の分からない同級生達といったい何を学べというのだろうか。 地元の市議会議員の両親は実家でこれまで数回飛び降り自殺未遂を図った僕の“成功”を見たくないから都会に放り出したようなものだ。 僕は大方の大人の期待通り、何も急がず欲しがらずずっとこの部屋にいる。 でも都心でyoutubeを見るために田舎を出てきたわけでは無い。 今の僕には二択だ。 精神科からもらった睡眠薬を大量摂取して部屋のバスタブで手首を縦に深く切るか、 どこか入水自殺できるきれいな川を外に探すか。
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