Log No. 3107-01-12 02:54:31

2/4
前へ
/346ページ
次へ
 今やディアは人間の傍にいるのが当たり前だ。かけがえのない人類のパートナー。もはや人は、ディアなしで生きていくことはできないだろう。  そう断じることに誰もが異を唱えないほど、ディアは人間の社会に融和して、その根幹を担った。文化を磨き、生活を支えた。  振り返って思えば、そんなディアの誕生は、連綿と続く人間と人形の関わり合いの終着点として当然のように――たどり着くべくしてたどり着いた境地のようにも見えるけれど、ただそれでも、ディアの発明という歴史的一点のパラダイムシフトがきっかけであったことは確かである。  今より約八百年前、ディアは一人の人間によって生み出された。  彼は望んでいた。人形が人間と寄り添い、人間を助け、人間とともに生きる未来を。  そして彼は考えた。ディアという、人間とともに生きていくべき人形の在り方を。  では、ディアが人間とともに生きるには、いったい何が必要だろう。  一つには身体だ。人間と同じ身体がいる。  だからディアは、人間を模した身体を持った。
/346ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加